10月1日(土)・2日(日)の2日間にわたり、マリンメッセ福岡B館(福岡県福岡市博多区沖浜町2-1)で開催され、2日間で1,000名を超える来場者が訪れた九州エリア最大規模の自動車ビジネス専門展示会『オートアフターマーケット九州2022』。話題の展示や実演が多くあった中で、車齢の延伸により活況を呈するカーディテイリング関係の展示も賑わいを見せていた。
自動車のメンテナンスに特化したドライアイス洗浄機
株式会社グリーンテックジャパン(三重県津市大倉19-1/田村欣也代表取締役)のブースでは、整備専用ドライアイス洗浄機「DRY-ICE POWER GT-110M」の展示とYoutubeを使った動画での説明が行われていた。
同社ではこれまで自動車メーカーの洗浄技術として「DRY-ICE POWER GT110」を展開していたが「DRY-ICE POWER GT110M」はその改良型として、自動車整備業界へ進出。小型のコンプレッサー3.7kw(5馬力)からのマッチングに成功し、傷つけたくないエンジンルーム、内装の洗浄から、エンジンカーボン、錆落としに至るまで高い洗浄能力を実現したという。
なぜ洗浄にはドライアイスが良いのか?
担当者へ洗浄にドライアイスを使う理由を聞くと「ドライアイス洗浄の“剥離能力”が自動車整備に適しているということがあります。ドライアイス洗浄の剥離の原理は−79度の瞬間冷却による付着物の熱収縮力と付着物の隙間での750倍の体積膨張力です。この原理なら、油は完全脱脂、赤錆であれば粉体は残りません」と話してくれた。
その上で「ドライアイスは洗浄後に、固体から気体に気化するため、不要なものが残りません。またその特性上、金属やプラスチック、ゴムや、ガラスも傷つけることはなく、やさしく洗浄が可能です。さらに手や工具が入らない狭い隙間の洗浄も得意としており、エンジンルームの油やほこり、直噴エンジンの吸気ポートのカーボンも強力に洗浄できます」と機能面でのメリットに加え「もともとドライアイスは、排気ガスなどから分離・回収・精製して製造されており、本来であれば大気中に放出されてしまうものを再資源化したものです。また廃液が出ず、排水処理施設なども要らないことから環境保全にも貢献します」と環境面でのメリットも話してくれた。
混同しやすいブラストとの差を理解することが重要
一般的なブラストには、ウェットブラストやサンドブラストなど様々なものがある。研磨材を衝突させて表面を加工する点では似ているが、洗浄力、研磨力、粉じん発生などの点で特徴が異なる。
具体的にはウェットブラストは水を用いるため粉じんの発生が無く、比較的美しい質感に仕上がるものの、研磨力には劣り、厚い塗装の剥離などは時間が掛かる。サンドブラストは研磨力が高く、ウェットブラストより表面加工の時間は早いが、脱脂などの効果は無い。
一方、今回出展されていた「DRY-ICE POWER」はブラスト力ではなく「洗浄」を大きな特徴としている。また、ドライアイスはブラスト処理が不要なことから、設備から脱着できないような金型などでも、比較的手軽に洗浄ができるとのことだ。洗浄のメカニズムも熱収縮、個体から気体に昇華する際の体積膨張を利用しているため、油の脱脂洗浄も可能となっている。
ただし「DRY-ICE POWER」はドライアイスの硬度が低いため、洗浄以外の目的(研磨など)には適さないとのことと、洗浄目的であっても、シール類や純アルミ、紙、木材などはダメージを与える可能性があるため、使用には注意が必要ということを教えてくれた。それぞれの作業用途に応じた使い分けが必要と言えるだろう。