ブレーキパッドの「使用限界」は? 残量0まで使ってはいけない理由 | CAR CARE PLUS

ブレーキパッドの「使用限界」は? 残量0まで使ってはいけない理由

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使用限界はどこだ!? ブレーキパッドを残量0まで使ってはいけない理由~カスタムHOW TO~
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ブレーキパッドは実はギリギリまで使ってはいけない。とくにスポーツ走行をするなら早め早めの交換が必須。事故やクラッシュしてからでは遅い、余裕を持った正しい交換残量とは!?

◆パッドはもともと約10mmほどの厚さ

ブレーキパッドはバックプレートと呼ばれる鉄板の上に、摩材が接着されている。この摩材がローターを抑えることで減速する仕組み。摩材はもともと片側約10mmほどの厚みがあり、この摩材が減っていったらパッド交換が必要になる。そこで気をつけたいのがパッドの残量。これが0になってから交換では遅い。0になる=ブレーキが効かなくなるということ。そして、バックプレートが直接鉄板を押してしまうと、あっという間にローターも削れてしまってローター交換も必要になってしまう。

ほかにもパッドが減ってくると好ましくないことがある。それがピストンの突き出し。パッドが薄くなるので、その分、徐々にパッドを押すピストンもキャリパーからたくさん飛び出すようになる。ダストブーツに守られているとはいえ、ピストンが飛び出すことで錆びたりもしやすくなる。また、その飛び出した部分にダストが付くと、それを押し戻す時にシールを傷つけてしまい、ブレーキフルード漏れにつながることもある。キャリパーピストンはダメージを受けると交換が必要で、いわゆるキャリパーのオーバーホール作業をしなくてはならない。そうなるとキャリパーひとつあたり数万円のコストが掛かり、加えてブレーキフルードも交換になるので結構な出費になるのだ。そういったリスクを考えると、街乗りでも残り数mmになったらブレーキパッドを交換したほうが良い。

◆サーキットでは5分山で交換すること!!

サーキットを走るスポーツ走行なら、もっとパッドの残量にはシビアになる必要がある。それはパッドが薄くなるほど、もっと減りやすくシビアになるから。スポーツ走行においてブレーキは発生した熱が重要なファクターになる。摩擦によって発生した熱はパッドとローターを加熱する。熱せられたローターとパッドは熱を空気中に放出している。このバランスが重要でどんどん熱せられるとローターが熱くなってしまう。街乗りではローター温度は100~200度程度。峠道でも普通に走っているレベルなら300度程度だが、サーキット走行となると軽く600度くらいにはなってしまう。

これはミニサーキットとか本格レーシングコースということはあまり関係がなく、1周の間にどれだけブレーキ区間があり、ブレーキが冷えるストレート区間がどれだけあるかによって変わってくる。なので意外と富士スピードウェイや鈴鹿サーキットはブレーキには厳しくなく、むしろミニサーキットだが本庄モーターパークのようなコースの方がローター温度があがり、ブレーキには厳しくなる。そして、そのローター温度を左右するのがコースレイアウトはもちろんだが、パッドの残量も関わる。パッドは薄くなるほど、熱を受ける体積が減る。ローターとパッドの体積の合計が減っていくので、同じ熱量を受けても温度が高くなってしまうのだ。

そうなるとパッドは新品時よりも高温になり、もっと減りやすくなる。パッドは減るほどに二次曲線的にヘリが早くなってしまうのだ。なのでサーキットでは5分山になったらブレーキパッドは交換するべきと言われている。正確にはたしかにもう少し使えるのだが、わずかに周回を重ねただけであっという間に減ってしまうということも起きうる。そこで5分山になったらサーキットではパッドを変えましょうと言われているのである。

「さっきのコーナーではブレーキが効いたのに、このコーナーでは効かなかった」というのはブレーキトラブルでクラッシュやコースアウトした人が揃えて言うこと。なかなか予兆がないままに、一気に効かなくなってしまうことがあるので、早めの交換が推奨されているのだ。

◆パッドを新品にしたらフルードの量も点検を

パッドの残量を見るのはタイヤを外さないとほぼ見えない。そこで整備の基本として言われているのがパッドを新品の時にフルードの量をリザーブタンクのフルのラインに合わせること。パッドを新品にした時にフルードもフルのラインに合わせておけば、パッドが減ってピストンが押し出されていくとフルードのタンクの油面が下がってくる。それによってパッドの減りがわかる。間違ってもパッドが減っている時にフルードを足してしまわないように。そうなるとパッドがどれくらい減っているのかわからなくなってしまうのだ。

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《加茂新》

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