古くなった愛車ユーザーの希望!FUJITSUBOが手掛ける絶版となった旧車マフラーの復刻 | CAR CARE PLUS

古くなった愛車ユーザーの希望!FUJITSUBOが手掛ける絶版となった旧車マフラーの復刻

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古くなった愛車ユーザーの希望!FUJITSUBOが手掛ける絶版となった旧車マフラーの復刻
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令和3年3月末の国内の乗用車(軽自動車を除く)の平均車齢は8.84年で、過去最高を更新した。愛車を大切に長く乗るユーザーが増える一方で、長く乗れば乗るほど、純正部品が劣化し、交換をしようにも該当の部品が既に無いというケースも増えている。

加えて新車の納期遅延が解消しない中で、車検のタイミングが重なったカーオーナーは、再度車検を通さざるを得ない。こういった場合、部品が無ければ車検を通すこと自体も厳しくなる。特に古い愛車に乗っているカーオーナーには頭の痛い問題だ。

そんな中、マフラーメーカーの老舗である「FUJITSUBO」が、絶版となった車種であっても、車検に適合するマフラーを製作する取り組みを行っているという情報を編集部はキャッチ。静岡県にある同社の裾野総合工場(裾野市須山1220-12)にお邪魔し、取り組みへの思いなどを伺った。

オートバイの製造からマフラー製造に徐々にシフト

「FUJITSUBO」の正式な社名は、藤壺技研工業株式会社。1931年に福岡で「藤壺モータース」として創業したのが始まりで、今年で創業91年を迎える。意外かもしれないが、祖業はマフラーではなく、オートバイの製造とそれに関わるエンジン製作だったそうだ。その後、レース活動に携わっていく中で、レーシングパーツの開発に着手。その中でマフラーに徐々に特化し、現在のポジションを確立。その知名度はもちろん、品質やクオリティの高さはユーザーから熱い支持を得ている。今回取材に伺った裾野総合工場は1997年に開設され、開発・生産・営業など同社の主要な機能が集約されている。

藤壺技研工業株式会社裾野総合工場
工場内に並ぶ希少なクルマの数々

旧車ブームとユーザーからの熱いニーズ

そんなFUJITSUBOが、冒頭で述べた通り、絶版となった車種のマフラーを車検適合品として新たに製作する取り組みを行っている。取材時に見せて頂いたのは、SA22C RX-7用のLegalis R(レガリス・アール/好評販売中)という製品だが、この他にもAE86の新作として左ハンドルのエグゾーストマ二ホールド(エキマニ)なども製作したとのこと。

担当者曰く「純粋なマフラーメーカーでこのような製品を製作しているのは弊社くらいではないでしょうか。アメリカのSEMAショーなどでブースに立っていると、現地の若い子が『よくぞ作ってくれた!』とハイタッチして喜んでくれました。国内含め世界にはいくつものマフラーメーカーがありますが、古い治具などを“もう使わない、売れない”と思って処分してしまうところが多いと思います。逆に古い車種のマフラー製品は治具が無いとできません。ただマフラーの治具は大きいので場所を取るため、保管やニーズを考えると処分は妥当な面もありますが、今のような旧車ブームが来ても対応できません。その意味では弊社は強みを持っていると言えます」と語る。

SA22C RX-7用のLegalis R(レガリス・アール)

「一般のカーオーナーの皆さんのFUJITSUBOのイメージは、GR86やスープラのマフラーを作っている会社というようなものだと思いますが、古い車種をやっているということを知ってくれているお客様も比較的多いです。その中で、実際に“部品が手に入らず、車検が通らなくて困っている”という声をよく聞いていましたので、そのニーズには応えるべきだと始めたのがきっかけです。マフラーはかさが大きいので、純正品を処分してしまうと替えがありません。加えてその車種専用品が多く、汎用が利きにくいという特徴があります。弊社でも汎用車種は少なく、専用で作ることが多いです。それが積み重なり、ラインナップが徐々に増えました。逆に増えたことで様々なお客様に使って頂ける機会が増えた面は強みになりました」とこの取り組みの経緯を語ってくれた。

上記ラインナップは95年くらいまでのピックアップ。全車種の設定となると1,000車種以上あるとのこと

広がる自動車部品の選択肢とメーカーとしてのプライド

FUJITSUBOの担当者が話してくれたように、ユーザーのニーズに応える上での大前提は、車検適合品ということである。FUJITSUBOで現在ラインナップしている製品は、基本的に車検を問題無く通る製品である。

その上で「基準の中でいかに良いものが作れるか。そこを突き詰めたいと思います。マフラーを作る会社も減ってきているので、FUJITSUBOは頑張らないといけないという自負、プライドは持っています。そういう思いもあって、古いクルマの新規開発(新製品)をやっています」と熱い思いを語ってくれたのが印象的だった。

このように、古い愛車の車検の際に、一部分の部品の劣化によって車検が通らないという場合、自動車メーカー系の部品のみならず、マフラー製作のノウハウと知見を持つFUJITSUBOの取り組みは、ユーザーの自動車部品の選択肢を確実に広げるだろう。古い愛車オーナーは、今回のFUJITSUBOのような取り組みも踏まえ、現在はニーズにあった車検適合部品を探し出せる可能性と選択肢が広がっていることを知っておいてほしい。

《カーケアプラス編集部@松岡大輔》

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