本田技研工業(ホンダ)は12月10日、2002年から開催しているHondaの次世代育成プログラム「子どもアイディアコンテスト」の最終審査会をHondaウエルカムプラザ青山で開催した。
今回も「未来」をテーマに、「あったらいいな」を作品にするコンテストとして開催され、子どもならではの発想が詰まったおもしろいアイディアが、全国から8000件を超えて集まった。そこから厳選された20組の作品・プレゼンテーションが、3年ぶりにリアルイベントとして開催された。
低学年の部、高学年の部と分かれて子供たちのアイディア発表が行われ、途中は休憩も挟みながら、1時間を超えるプレゼンテーション時間となった。また会の途中には、特別授業として、『Hondaの技術 倒れないバイク ライディングアシスト』の解説も行われた。
倒れないバイクについては、本田技術研究所の辻村氏が登壇。そもそも倒れないバイクの技術は、Hondaが開発を続けていた二足歩行ロボット『ASIMO』が、歩行や階段の上り下りなどを行う際に、倒れないように制御する技術が応用されているとのこと。もともと辻村氏はASIMOの開発に携わっていたとのことで、ASIMOのバランスの技術は多いにいかされているそうだ。説明の途中には、実際に開発中のバイクも登場し、横から押して強制的に傾きを与えても倒れないというデモンストレーションも実施。また開発中に実際に起こった問題についてや、今までの苦労話なども聞くことができた。プレゼンテーションの最後には「またこれから新しいアイディアを思いついて形にしようとするとき、それを使ってくれる人たちのことを考えて、諦めずにチャレンジしてほしい」とエールを送っていた。
◆全国から選ばれし20組の作品から最優秀賞は2作品
子供たちの作品の審査は、審査員長に脳科学者 茂木健一郎氏を迎え、審査員として、本田技研工業の倉石誠司取締役会長、カーライフジャーナリストのまるも亜希子氏、本田技術研究所先進エネルギー研究福島のぞみアシスタントチーフエンジニア、本田技術研究所フロンティアロボティクス住岡忠使 アシスタントチーフエンジニアが担当。
その結果、低学年の部最優秀賞は、『うちゅうみみず スペースワームくん』を発表した長崎県 1年 南 遥紀さん。優秀賞は『気持ちをつたえる つたえロウ』を発表した東京都 3年 遠田花夏さんと、『ボクだけほめてくれるロボット』を発表した兵庫県 2年 石井蓮人さん。審査員特別賞は、『ほしマンション』 広島県 1年 岡田伊勢さんの作品。キッズ大賞は、『公園に本の自どうはんばいき』千葉県 2年 後藤しいなさんの作品が選ばれた。
高学年の部は、最優秀賞が『話がつたわりマスク』を発表した千葉県 6年 黒田怜生さん。優秀賞は『おとどけ ヤジロベー』を発表した千葉県 4年 永井秀弥さんと、『もう転校はしなくてOK!! 悲しいからHAPPYへ!!気分転向カメラ』を発表した奈良県 4年 原英汰さんと2年 原光汰さんの作品。審査員特別賞は、『自然の力でモコモコ泡建築』千葉県 6年 柴田日晴さん。キッズ大賞は、『夢みる バクラ』福岡県 6年 菊池怜さんが受賞した。
◆未来の課題は小学生のアイディアで解決されるかもしれない
低学年の部の『うちゅうみみず スペースワームくん』は、宇宙ゴミとも言われている『スペースデブリ』を減らし、リサイクルによって新しい衛星や宇宙ステーションの材料にするといったもの。みみずが落ち葉を食べて有機物の分解を促進するように、スペースワームがごみを食べてリサイクルするという発想になっている。
『話がつたわりマスク』は、マスクにしゃべった言葉が文字として表示され、耳の悪い人でもなにを話しているかすぐにわかるといった、黒田怜生さんの祖父が難聴だったことから考えついたアイディアだ。発せられた言葉は、AIが認識して文字に変換され、薄い電光掲示板のような表示デバイスをつけたマスクに表示される。
表彰式では、茂木健一郎審査員長が、「スペースデブリは非常に大きな問題になっている。ホンダも飛行機を作っているが、今後宇宙事業にも進出するという予定だと聞いている。みんなが困っている問題を、遥紀さんの発明が解決してくれるかもしれない。また『話がつたわりマスク』は本当に素晴らしいアイディアで、私の知り合いの落合陽一さんもいいなと言ってくれそうな発明だと思う。これからの時代に必要なものを、しっかりとした形にして発表したのはスゴいことだと思う。コレからは人工知能の時代だが、アイディアを出したり、それをいかに人に伝えるかはとても大事なことになる。皆さんのプレゼンテーションを見て、日本の未来は明るいな、世界はこれからどんどん夢が膨らむなと確信しました」と総評した。