三菱自動車工業株式会社(本社:東京都港区/加藤隆雄代表執行役社長兼最高経営責任者 以下、三菱自動車)は、軽商用EVとして、新型『MINICAB-EV(ミニキャブイーブイ)』を発表。24日に都内でプレス向けの発表説明会と実車の見学会を行った。
販売は12月21日(木)からで、価格は、税込2,431,000円~2,486,000円。類別展開は先代モデルからの変更は無く、2シーターと4シーターの2グレード展開となる。
気になる先代モデルとの違い
同社は、新型MINICAB-EVについて、軽商用EVとして2011年の発売以来、12年間で累計約1万3千台(2023年10月末時点)の販売実績を持つ『MINICAB-MiEV(ミニキャブ・ミーブ)』をベースに、同車の開発・メンテナンスで得られたノウハウを最大限に活かして大幅改良し、航続距離の向上と、安全装備・機能装備の拡充を図ったと説明。物流関係や自治体など、軽商用EVの需要が一層高まっていることを受け『MINICAB-EV』とともに商用でのラストワンマイルのCO2削減に貢献していくとした。
今回の発表で強調されていたのは航続距離の向上・安全性能の拡充・価格の据え置きだ。MINICAB-EVでは、モーターや駆動用バッテリーなど電動系のコンポーネントを新世代化し、一充電あたりの航続距離が先代モデル比で約35%増となる180km(WLTCモード)に延長された。
標準設定されているAC200V(15A)での普通充電での満充電時間は約7.5時間で、業務終了後に充電すれば、翌日の業務開始時には満充電状態で使用できるとしている。なお、最大出力電流が60A以上の急速充電の場合は、約42分で80%までの充電が可能とのことだが、急速充電は今回はメーカーオプション設定となっている。
先代モデルから延長された180kmという航続距離について、他社製品では200kmを超えるものもあるが、同社の見解として、独自に調査した軽商用バンの1日の平均走行距離データ(90km以下が80%以上)なども踏まえ、現時点では180kmがベストという判断をしたと説明。航続距離を伸ばすことは可能であるものの、バッテリーや価格面の調整が必要なことから、市場ニーズの高いものから優先的に改良したと説明。
ドライバーの疲労軽減と安全性能の向上については、衝突被害軽減ブレーキシステムや車線逸脱警報システム、オートマチックハイビーム、誤発進抑制機能(前進時)などの予防安全技術「三菱e-Assist」を採用し、事故の危険を最小限に抑え、安全・安心を提供(サポカーSワイドにも対応)するほか、回生力を強めることでドライバーの疲労軽減と実用電費を約4~9%向上させたと説明。また急な坂道で発進時の後退を防止するヒルスタートアシストが新たに追加されたことも併せて発表した。
前述した先代モデルからの走行距離向上や安全装備の充実を図りながら、販売価格は先代モデルとほぼ同等に抑えたことで、より幅広い商用EVの利用ニーズに応えていくとした。
軽商用EVのパイオニアとしての知見を生かす
国内の軽商用EV市場は、政府のグリーン成長戦略などにより、今後動きが活性化していくとみられる。具体的な動きとして、トヨタ・ダイハツ・スズキの3社で共同開発する車種が2023年度内の導入を予定しているほか、海外メーカーの日本市場進出の動きも活発化している。
その中で、2011年に国内メーカーとしては唯一の量産型軽商用EVを発売した同社としては、これまで積み上げてきた実績と知見を生かし、軽商用EV市場においても確固たるポジションを確立したいという狙いが見えた。
なお、販売目標について具体的な数字は明言しなかったものの、今年度のMINICAB-MiEVの販売見込み台数が約3,000台とのことから、まずはそれ以上の販売をできるようにしていきたい旨、説明があった。国内軽商用EVのパイオニアとして、激変していく市場にどのような変化をもたらすのか注目したい。