1974年のVW『ゴルフ』誕生から今年で50年。ヤナセの資料によれば日本市場へは翌年1975年に輸入開始、この年4ドアガソリン車が1804台輸入されたという。そんなゴルフの初代モデルをカタログで振り返ってみたい。
長く続いた“ビートル”に代わるVWの主力車種の役を担って登場したゴルフは、Dr.フェルディナンド・ポルシェのアイデアに端を発したビートルのRR(リヤ・エンジン・リヤ駆動)に対して、まったく新設計のFF(フロントエンジン・フロント駆動)とし、僅かに先行した初代の『パサート』『シロッコ』とともにVWの新時代の幕開けを告げるモデルとなった。
ビートルの丸から角張ったボディを纏うゴルフは、見るからに実用車だったが、当時としては抜きん出た1410mmの全高により、全長わずか3725mmのコンパクトなボディながら、上級セダン並みの豊かな室内空間を確保。さらに車幅いっぱいに開く便利なハッチバックを採用し、荷物の積載性にも優れた。
当時のカタログには、リヤシートのバックレストを倒せば“荷台は約3倍の広さになり、ちょっとした引っ越しくらいできそうなスペースができあがります”と記されている。
乗った経験がおありの人ならおわかりだと思うが、アップライトな姿勢で座るシートは表皮の張りが強く、日本車との違いを実感させられたもの。インパネもごく簡素で、メーターや空調スイッチ、ラジオなど必要最小限の機能だけが備わった。
写真でご紹介しているのは1978年のカタログ。このときのボディタイプは2ドアと4ドアの2種類で、全車とも1457ccエンジンを搭載。トランスミッションは4速MTと3速ATが用意されていた。