4月12~14日の3日間、幕張メッセで開催された『AUTOMOBILE COUNCIL 2024』(オートモビルカウンシル2024)。ヘリテージカーから新型車まで、さまざまなクルマの展示や販売がおこなわれていたが、入場口から一番近いところに今年は「アルヴィス」と「ブリストル」というイギリスの老舗ブランドが、図らずも並んで出展していた。
イギリスの老舗ブランドというと、多くの方が思い浮かべるのはロールスロイスやベントレーあるいはアストンマーティンなどで、そこにアルヴィスあるいはブリストルが想起されることは日本ではまずない。だがこの二つのブランド、実はどちらも非常に高貴なブランドとしてイギリスのいわゆる上流階級の人々からはしっかりと認知されているブランドなのである。
老舗と書いたものの、ブリストルがクルマを作り始めたのは戦後のことで、歴史的な長さから行けばほぼポルシェのそれに等しい。だが、この会社の歴史は飛行機製造で長い歴史を誇り、ブリストルの名が付く飛行機が初めて登場するのは1910年のことだった。
ブリストルが一般的にあまり知られていない大きな理由は、特にレースドライバーだったトニー・クルックがオーナーの時代にモーターショーには一切出展せず、ショールームはロンドンに1か所あるだけ。そして生産は週に3台に制限されて、ある意味量販を拒否していたことによるかもしれない。だからその生産台数も僅かで、今も投機の対象とならないことがその神秘性を高めているともいえよう。
一方のアルヴィス。1919年に創業したこのメーカーは戦前に野心的な設計のクルマを世に送り出し、一つの時代を築いた。戦後にはミニの設計者として知られるアレック・イシゴニスもこの会社に在籍してエンジンの開発などを行っていた。
ブリストル同様航空機の生産にも関わっており、アルヴィスでは航空機用のエンジンを生産していたし、今も軍用車を作るブランドとしてその名をとどめている。またスイスのコーチワーカー、グラバー社が作るスポーツサルーンはフィリップ現イギリス国王の愛用車としても有名であった。
この二つのメーカーが歴史に埋没した背景にはその頑なな思想によるところが多いように思えるのだが、アルヴィスはコンティニュエーションブランドとして復活を果たし、そしてブリストルはEVメーカーとして復活するようである。