日立Astemoアフターマーケットジャパン株式会社(東京都江東区・福岡正晃代表取締役社長)は、9月20~21日開催「オートアフターマーケット東北2024(AA東北2024)」と、9月28~29日開催「オートアフターマーケット九州2024(AA九州2024)」の検査用スキャンツール実演コーナーにて、10月1日から本格運用開始となったOBD検査(OBD車検)対応スキャンツール『HDM-10000』の実演を行った。
デモ車両として用意されたOBD検査対象車に『HDM-10000』を接続し、同製品の特徴や操作方法とともに、特定DTC照会アプリの[研修モード]でOBD検査の要否判定を行う流れに加え、AA東北2024での実演では『HDM-10000』の整備モードで故障コードを消去する手順も解説された。本記事ではAA東北2024での実演の様子をレポートする。
『HDM-10000』はISO13400対応
日立Astemoアフターマーケットジャパン マーケティング本部の川崎英雄氏が、デモンストレーターとして『HDM-10000』の特徴を紹介。川崎氏は、一部の新型輸入車ではすでに採用され、今後は国産車でも採用が増える次世代の車両通信規格ISO13400(イーサーネット/DoIP)のOBD検査に『HDM-10000』が対応している点を強調する。来年2025年10月1日からは輸入車のOBD検査(輸入車の対象車は、2022年10月1日以降にフルモデルチェンジされた新型車)が開始されることも踏まえ、ISO13400対応は『HDM-10000』の強みのひとつだと川崎氏は伝えた。
OBD検査対象車の現行型プリウスで実演
AA東北2024の会期中に行われた実演では、デモ車両として、OBD検査対象車のトヨタ・現行型プリウス(5代目60系)が用意されていた。川崎氏は『HDM-10000』を検査用スキャンツールのVCIとして、現行型プリウスのデータリンクコネクターに接続。特定DTC照会アプリがインストールされたPCを使用して[研修モード]で、OBD検査の要否確認を実行すると「不適合」という結果になった。
『HDM-10000』を整備モードへ切り替え
「不適合」の結果について川崎氏は、あらかじめ不適合となる状態にした現行型プリウスを用意したことを伝え、排ガス区分のエンジンコントロールシステムで2件の故障コードが検出されたことを説明。特定DTC照会アプリでは、故障コードの消去は行えないため、川崎氏は『HDM-10000』の整備モードに切り替えて、故障コードの診断と消去を行う必要があることを伝えた。
内蔵の故障診断ソフトで故障コードを消去
整備モードへの移行が完了したら、内蔵の故障診断ソフト(国産乗用車メーカー8社、国産トラックメーカー4社、輸入車メーカー7社を標準で内蔵)からトヨタの現行型プリウスを選んで診断。その結果、特定DTC照会アプリと同様の故障コードが2件表示された。
川崎氏は『HDM-10000』の整備モードで、故障コードを消去する手順を解説。最後には、再び特定DTC照会アプリでOBD検査要否判定を実行すると、問題なく「適合」と表示された。
システム動作が早く、操作性も良い
今回の実演で印象に残ったのは『HDM-10000』のシステム動作の速さと、操作性の良さだった。本体は5秒ほどで起動し、デモ車両に接続してVCIとして認識される時間も数秒程度で遅さを感じなかった。操作性の面では、本体上部に搭載された「リセットキー」を押して、本体中央下部のボタン(EXITキー)を押すだけという2ステップで、OBD検査用から整備モードへ切り替えられる点も大きな魅了だろう。内蔵の故障診断ソフトでの診断と故障コードの消去もスピーディで、高性能なCPUが搭載されていることを実感できた。なお、9月28~29日開催「AA九州2024」での実演では、OBD検査対象車の日産サクラがデモ車両として用意され、『HDM-10000』を接続して解説が行われた。
今回実演が行われた『HDM-10000』は、国土交通省が自動車整備事業者を対象に、7月30日から申請受付を開始した「令和6年度スキャンツール補助事業」の対象機種となっている。製品詳細や購入に関する問い合わせは、日立Astemoアフターマーケットジャパン株式会社カスタマーサポートセンター(03-3527-6323)で受け付けている。