ファインケミカル、インダストリアル・プロダクツ、サスティナビリティ、ライフサイエンスの4分野で、市場ニーズの高い製品とサービスの輸出入および販売を手掛ける専門商社の三洋貿易株式会社(本社:東京都千代田区/新谷正伸代表取締役社長)は、1月15日(水)に、わずか30秒でEV・PHEVのバッテリーの劣化度を診断できるバッテリー診断機の発売を発表。同日、メディア向けの製品発表会を行った。
簡単かつ短時間、安全に精度の高いバッテリー診断が可能!
同社はEVに関わる事業者が「安心・安全に電気自動車を使う」ための選択肢の1つとして、独自ブランド「Ever Blüe Drive(エバーブルードライブ)」の立ち上げとシリーズ第1弾製品として 「高速バッテリー診断機ETX010」を発表。価格は17万8,000円(税別、別途アプリ・システム利用料が必要)で診断回数は無制限。1月22日(水)から特設サイトにて予約受付を開始するという。国内の中古車買取販売事業者やディーラー、カー用品店、整備事業者などをターゲットとし、当面の売上目標は1,500台。現時点では国内向けモデルであるETX010の1機種のみの展開だが、市場のニーズやビジネスモデルの確立などの条件が整えば、海外向けや複数グレードの展開にも含みを持たせた。
ETX010は、急速充電口(CHAdeMO)に差し込むだけで、バッテリーの劣化度合いを示すSOH(State of Health)の推定値の測定が可能。測定時間は約30秒で、測定結果は専用のアプリ上で表示され、PCの管理システムで一括管理が可能となっている。測定の際にバッテリーの充放電が不要で、高電圧のバッテリーを車体から取り外す必要もない。また750gと軽量なハンディタイプのため、安全に配慮した測定ができるという。なおバッテリーの劣化度については、後述する同社が持つ膨大な車両解析データを基にした独自のアルゴリズム(データマイニング法)を用いて測定されるという。
三洋貿易がEVバッテリー診断機開発に取り組んだ理由
同社では2017年から米国のCaresoft Global社の販売代理店となり、各メーカーの車両を分解・解析したデータベースを提供、自動車業界各社のベンチマーク活動を支援している。その中でEVのデータも多数扱っており、グローバルメーカー各社が採用するバッテリーの種類や特性について、国内トップクラスの情報量を保有している。具体的には2022年3月に最新の電気自動車の部品を自由に手に取って確認できる日本国内初の展示場である「Sanyo Solution Gallery」を岐阜県瑞浪市にオープンさせており、約9万点の部品が、各車の部品群ごとに比較検討がしやすいよう、展示されている。
同社モビリティ第二事業部東京1部の光部亮人部長は、発表会の場で「日本にEVが普及した場合、EVバッテリーの経年劣化の度合いを適切に把握できる術がないと気付いたことが、今回のプロジェクト発足のきっかけでした。そこでまずはEVバッテリーの状態を適切に把握できる診断機が必要と判断し、市場調査を行ったところ、価格が高価で測定に時間が掛かることと高電圧の充放電が必要になることなどの課題が明確になったため、EVの研究解析データを通じた得た知見を持つ弊社だからこそできるソリューションとして、使いやすく、安全で、経済的なEVバッテリーの診断機の開発に至りました」と開発の経緯を説明。
なお今後はバッテリーの診断だけではなく、劣化したバッテリーの性能を回復させるメンテナンス機器についても現在開発を推進中だという。
今後、国内でEVが普及していく中で、EVバッテリーの劣化度合いを診断できる機器の重要性は様々な面から大きくなる。そんな中で先行する同社のソリューションが存在感を増していくことは間違いないだろう。
なお、今回のETX010は1月22日(水)~24日(金)に開催される「オートモーティブワールド2025」および2月26日(水)~28日(金)開催の「第22回国際オートアフターマーケットEXPO2025」でも展示されるので、ぜひ実機を確認して頂ければと思う。