なぜGT-Rは18年経っても別格なのか、日産担当者が語るブランドの重み…いいクルマアワード2026 | CAR CARE PLUS

なぜGT-Rは18年経っても別格なのか、日産担当者が語るブランドの重み…いいクルマアワード2026

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なぜGT-Rは18年経っても別格なのか、日産担当者が語るブランドの重み…いいクルマアワード2026
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日産GT-R』が第10回「いいクルマアワード」でリスペクト賞を受賞した。生産終了後も語り継がれる名車として高く評価された。

◆第10回「いいクルマアワード」でGT-Rがリスペクト賞を受賞

NISSAN GT-R

2026年、記念すべき10回目を迎えたいいクルマアワードの表彰式が2月12日、東京ビッグサイトで開催中の「第23回 国際オートアフターマーケットEXPO 2026」にあわせて行われた。会場は展示会場に隣接する会議棟レセプションホールで、「リスペクト賞」には日産GT-Rが選出された。

いいクルマアワードは、自動車の修理・整備・販売・買取などに携わるアフターマーケット事業者の視点で「いいクルマ」を選び、表彰するアワードだ。メーカー(製造側)の視点ではなく、日々クルマと向き合うプロが評価することで、一般ユーザーにとっても興味深く、購入や保有の参考になる結果として注目を集めている。

なお今年から賞の名称を変更。従来の「大賞」、「特別賞」、「EV賞」を、それぞれ「グランプリ」、「リスペクト」、「イノベーション」へと改め、より分かりやすい名称とした。

◆GT-Rが高く評価された理由

GT-Rが高く評価された理由は、以下の通りだ。

2025年8月に18年の生産を終える日産GT-R(R35)は、一線級の性能を保ったまま長期生産を続けた姿勢が特筆に値する。GT-Rが1969年のスカイラインGT-R以来、高い評価を得る理由は、資産価値・ブランド力・性能・カスタマイズ性の4点だ。中古車は高値を維持し“資産”と見なされ、憧れの象徴としてのブランド力も強い。走行性能は海外勢にも匹敵し、第2世代GT-Rに搭載された名機RB26や映画での知名度も追い風になっている。豊富なアフターパーツやNISMOのヘリテージ供給など維持環境も整っており、生産終了後も長く大切にされるべき名車である。

こうした評価を受けたGT-Rについて、日産自動車日本マーケティング本部でGT-Rを担当する和田洋佑氏に話を聞いた。

◆GT-R担当者が語るファイナルモデルへの思い

---:和田さんはどのような形でGT-Rに関わっているのでしょう?

日産自動車株式会社 クロスカーライン&セダン/スペシャリティ チーフマーケティングマネージャー 和田 洋佑氏

和田氏:私はクロスカーライン・セダン&スペシャリティという部署で、複数車種の横連携のような形でGT-Rに関わっています。GT-Rの担当になってからは1年程度です。

---:では、ご担当になったときにはすでにファイナルバージョンへのカウントダウンが始まっていた時期ですね。

和田氏:はい、そうなります。ファイナルモデルを設定したものの、まだまだ買いたいお客様にお届けできていない、お届けしきれていない状況もありました。そうした中で、われわれだけが「ファイナル」と言って盛り上がっているのではないか、という話もありました。ですので、本当にもう買えなくなるということをある程度しっかりお伝えしないと、購入を迷われているお客様が判断できないだろうという点は気にかけていました。

また、「ファイナルではない」と思われていたり、今後もずっと買えると思われていたりすると、ご迷惑をおかけします。ですので、ここが最後のモデルであることをはっきりお伝えしながら販売していました。

---:ファイナルだからこそ欲しいという方もいますよね。初期型を買った人がファイナルを買い直したいというケースもある。資産性や転売目的など、いろいろなパターンがありますね。

和田氏:転売などにはかなり気をつけていて、販売の際には、本当にクルマに乗ることを体感したい方に、どうやったらお届けできるかという点にはかなり配慮していました。

---:ところで和田さんは、車種担当になったのは初めてなのですよね。初めての担当車種がGT-Rだということについて、どのような印象をお持ちですか?

和田氏:本当に、クルマや車種という領域に携わったのが今回初めてです。その車種がGT-Rだというのは光栄です。日産だけでなく、どの自動車メーカーでも、こうしたスポーツカーの担当になることは誰もが夢見ることだと思います。私にとっても、この先のキャリアでGT-Rの担当だったというのはとても名誉なことです。GT-R担当になって、ある意味、本当に自動車業界にようやく入ってきたという実感が持てる毎日ですね。

◆GT-Rに乗って実感した特別な価値

---:もちろん乗ったと思うのですが、乗ってみてどうでしたか?

日産自動車株式会社 クロスカーライン&セダン/スペシャリティ チーフマーケティングマネージャー 和田 洋佑氏

和田氏:乗りました。私では表現しきれない良さが本当にあります。私は決して運転がうまいわけではないのですが、そのわずかな違いまで感じ取れる領域は、やはり開発や企画メンバーの方が優れています。それでも、われわれのような売る側、訴求する側の立場でも十分に体感できました。これは、自分が操ってもある程度のパフォーマンスを引き出せるクルマになっていますよね。本当にそれがすごいなと思います。

---:本当にそうだと思います。日産ファンはそういうスポーティな部分に共感していますよね。だから東京オートサロンでも日産車はすごく人気で、ヒストリックなクルマも多く見られるのだと思います。

和田氏:日産はやはり尖っている、そうした部分が大切だと思います。技術の日産、走りの日産というイメージは重要です。現在は経営状況の課題もあり、オートサロンを含む各種イベントについても参加可否が社内で慎重に議論されました。しかし、オートサロンは日産ファンが多く、社内でも重要な位置づけとなっています。

◆GT-Rをどうヘリテージとして残すか

---:そういうファンを大事にして、35GT-Rをどうヘリテージにしていくか、ということも大切ですね。

和田氏:そこはもう弊社もですし、NMC(日産モータースポーツ&カスタマイズ、旧ニスモ&オーテックジャパン)も含めて、長く残せるように、お客様に長くご愛顧いただけるようにという部分にかなりこだわって取り組んでいます。

---:NMCと日産で、役割分担はあるのでしょうか?

和田氏:あえて言うのであれば、NMCはカスタマイズの領域で、われわれより自由度が高いです。そうした走りやニスモの知見を活かし、よりパフォーマンスを上げていくのがNMCの担当です。一方、われわれ日産がメーカーとして担うのは、基本性能全体を高めていくことや、長く使えるようにパーツ供給を維持していくことなどです。そうした部分を中心に進めていくのが役割になると思います。

---:では、日産自動車とNMCが供給側で、取り扱いはディーラーということになるのでしょうか?

和田氏:そうです。供給側の話としては、マーケティングでは商品企画のチームが担当しています。日産にはCPSと呼ばれるチーフプロダクトスペシャリストという職種があり、その方向性について全面的な責任を負っています。その中で、われわれは現場の声を踏まえ、マーケティング上必要なアイテムとしてどこに優先順位をつけるのか、そういった点をCPSの方と毎日のように話しながら連携して進めています。

日産側で部品を作ったり企画したりする体制と、NMC側で企画する体制は、もちろんGT-Rが生産終了と言い出す前から動いています。サプライヤー一社一社とも丁寧に話を重ね、何を期待するのか、どう残してほしいのかも含めて、実際の声を聞きながら、GT-Rブランドをしっかり残せるようにしています。

◆日産トップも語るGT-Rブランドの継承

---:このスペシャルなブランドに対して、日産のトップからはどういう指示を得ているのでしょう。

和田氏:ファイナルモデルのオフライン式のときに、CEOのイバンが「皆さん、本当にこれは愛されたブランドになっていて、やはり日産といえばGT-Rというところから日産を知った方も、特に海外では数多くいらっしゃる。本当にこのブランドは絶対に絶やしてはいけない」と話していました。

実はこれはCEO就任当時から言っていたことです。事前の打ち合わせなどもなく、オフライン式で動画インタビューを受けた際に、本人自ら「次のGT-Rを必ず絶やさず、次のモデルを出せるように今取り組んでいるので期待してほしい」ということをしっかり伝えていました。かなりサプライズに近い形でのスピーチでした。

現場も「そうだよな」という雰囲気で共感しました。あのスピーチは、現場としても本当にモチベーションが上がりましたし、やはりそこに対して「続けたい」「期待したい」という思いがありましたので、あれをきっかけに「次を絶対に出そう」「どうすればGT-Rブランドを育てていけるか」という議論が社内でもかなり活発になりました。

◆次期GT-Rへの期待とブランドの条件

---:では、次期GT-Rにも期待できますね。

日産自動車株式会社 クロスカーライン&セダン/スペシャリティ チーフマーケティングマネージャー 和田 洋佑氏

和田氏:今、GT-Rという歴代のブランドをどう傷つけずに育てていくか、さらにどう高めていくかが非常に大切です。GT-Rというブランドは非常に強く、日産と紐付けて見てくださる方ももちろん多くいらっしゃいますが、あまりにGT-Rが強いので、GT-R以外の日産車を知らない方もいるほどです。ただ、GT-Rに関して言うと、携わった皆さんが、開発や企画を通じてクルマづくりの基礎である「走る・曲がる・止まる」を本当に突き詰めているクルマです。その知見は、それこそ軽自動車にまで活かされています。

たとえば新型『ルークス』には、当時GT-Rの企画に関わっていた方が携わっているなど、軽ならではの走りの基礎的な部分にも、知見を活かしながらクルマづくりをしているとうかがっています。実際、軽自動車のルークスも走りを含めて評判がよく、GT-Rを始めとしたブランドが、ほかのクルマにも波及し始めていると感じます。日産が扱うさまざまなスペシャリティモデルやセダン以外のクルマも含めて、そうした日産車に触れていただいた際に、「さすがGT-Rを開発・企画した会社だね」と言ってもらえるように、そうした基礎的な技術力の高さを感じていただければと思っています。

---:グローバルでは騒音問題などもあり、ハイパワーモデルのミッドシップ化が進んでいますが、GT-Rにはそのような話はないのでしょうか?

和田氏:私はそうした部分に直接関わってはいませんが、何を重視するかだと思います。

---:かつては直列6気筒でなければGT-Rではないという定義もありましたし、後輪駆動の2WDでなければという話もありました。ですからRという名称は付くものの、RSであったりGTS-R(こちらは直6・FRですが)であったりというネーミングも使われていますものね。レースで勝つという大前提のコンセプトだけは守られるでしょうが、そのために何をするのかこそがGT-Rだと思います。

和田氏:そうですね。イメージもあるだけに、やはりそこは全員、社長も含めて気にしています。GT-Rを作るというよりは、そこに耐えうるものを作っていったときに、それがGT-Rを名乗れるかどうかという点はかなり重視しているポイントです。その水準に達していないときには、おそらくGT-Rという名前では出さないか、そのもの自体を出さないか、どちらかになるのではないかと思います。

《諸星陽一》

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