長野・飯田の中学2年生が、フレーム修正から溶接・塗装まで本格体験…「車社会を支える」仕事の尊さを知る | CAR CARE PLUS

長野・飯田の中学2年生が、フレーム修正から溶接・塗装まで本格体験…「車社会を支える」仕事の尊さを知る

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長野・飯田の中学2年生が、フレーム修正から溶接・塗装まで本格体験…「車社会を支える」仕事の尊さを知る
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自動車は地方の暮らしを支える不可欠なインフラだが、ADAS(先進運転支援システム)をはじめとする電子制御化により整備や修理の高度化が急激に進む中で、現場の整備士や鈑金塗装職人の高齢化や人手不足は深刻さを増し、廃業や倒産が増加傾向にある。

そのような背景の中、長野県飯田市にて農業トラクターから新型車の点検整備、ビンテージカーのレストアまで手掛ける相互車体有限会社(飯田市中村75/内山広之代表取締役社長)では、20年以上前から地元の中高校生の職場体験を受け入れ、自動車アフターマーケット従事者の価値や魅力を発信し続けている。

注目したいのは、安全面に配慮しながら、プロの現場作業をありのまま体験するインターンシップである点だ。

今年は地元の中学2年生がベテラン職人たちと3日間を過ごす、本気度の高い職場体験が行われた。

項目確認の先にある「命を守る」予防整備

初日の午前中、整備ピットや鈑金塗装工場の説明を受けたのち、車検で入庫している軽自動車の法定点検から始まった。

ベテランの整備士から「部品の摩耗が限界に達していなくとも事前交換を提案したり、乗り方によるリスクをしっかりお客様にお伝えするのがプロの整備士。予防整備で長く安全に乗り続けられるようアドバイスし、お客様の命を守るのが僕たちの仕事なんだよ」とプロの心構えを聞いた。

旧車整備、パテ埋め、フレーム修正まで

午後は、車検入庫の軽自動車の隣で行われていた旧車の整備現場に立ち会った。左ハンドルの日産フェアレディZが目の前にあることに興味津々。剥き出しになったエンジンを前に、若手整備士が構造や作業内容を説明してくれた。

鈑金塗装工場に向かうと、鈑金歴50年を超える職人が「パテ埋めってわかる?」と気さくに話しかけてくれた。

パテ埋めはボディの傷やへこみに合わせたパテの選定と下地処理が命となる。パテを用いた面出しや研磨といったプロの基礎工程を間近で教わった。

鈑金塗装工場には、レストア途中のハコスカ(3代目・日産スカイライン)のボディがリフトアップされていた。

サビて朽ちてしまった部分を作り直す途中段階であり、ハンマーで鉄板を叩くなどしてレストアしていることを、相互車体の内山会長が教えてくれた。

その際、「せっかく中学生が来てくれているので、あれを載せよう」と、内山会長の一声から、フレーム修正機での作業現場にも立ち会えた。

大きく損傷して歪んだ軽自動車を修正機にセットし、三次元ボディ計測器で歪みを数値化したあと、強力なチェーンで骨格を引き伸ばしていく。

中学2年生は車両を固定するジグをセットし、フレームを引き伸ばすダイナミックな作業を体験。相互車体は修正機の稼働率が高く、本格的で正確な修正を日常的に行っていることを実感する場面となった。

予備検査と、本番の車検場

2日目は、初日に法定点検を行った軽自動車を車検検査場に持ち込む前の「予備検査」に立ち会った。サイドスリップや制動力など、数値に基づく厳密な判定プロセスを見学。相互車体は認証工場だが、予備検査を行える各種テスターを導入することで本検査前に必要な整備を行える環境を整えていることを学ぶ機会となった。

その後、飯田自動車協会が運営する自動車検査場へ同行。国の検査官が厳しくチェックする検査ラインの様子をじっと見守り、「1台の車検を通すのに、とても多くの人が関わっているのですね」と、中学2年生は自動車整備の奥深さや責任の重さを実感していた。

樹脂バンパー修復と本格溶接

車検場から戻ってからは、楽しみにしていた溶接体験が行われた。ファン付き作業ベストを借り、水分補給や休憩時間もとりながら体験に臨む。

まずは、高級輸入車の樹脂バンパーの補修にチャレンジ。専用の樹脂素材を溶かして接着補修する特殊な技術があることを初めて知った。

その後は保護具を着用し、重ね鋼板へのプラグ溶接や仮止め溶接に挑戦。散る火花と強い光のなか、金属同士が強力にくっつく手応えを確かめた。仕上がりを見た内山社長は「筋がいいね!」と絶賛。「すごく難しかったし、暑い…」と苦戦していた中学2年生だったが、プロから褒められてやりがいを感じていることが伝わってきた。

幼少期の思い出がつなぐクルマへの興味

最終日は、調色室で好みの塗料を作り、スプレー塗装に挑戦。下地塗りからカラーベース、仕上げのクリア塗装まで本格的な工程を体験し、きれいに塗り上がったスマホケースとボールペンを見て笑顔がこぼれた。

3日間を終えた中学2年生は「プロの皆さんが連携しながら1台の車を丁寧に仕上げたり、将来の安全性を考えて整備や点検をして車検を行っていることがわかりました。本当に全部楽しかったです。将来の仕事として具体的なイメージがつかめた、とても貴重な時間になりました」と振り返る。

また、今回、職場体験先として相互車体を選んだのには明確な理由があったことを教えてくれた。

「父親が昔からクルマが好きで、幼い頃に父親の車(アウディ)の整備で相互車体さんによく来ていて、待合室でミニカーで遊んでいたんです。最近は『頭文字D』を見て90年代のスポーツカーが好きになり、職場体験の場を選ぶとき、幼い頃にお父さんと行った相互車体さんで体験したいと迷わず決めました。早く運転免許を取って、車を運転したいです」

「働く」意味の実感と、進路への確かな一歩

本物の現場に触れた3日間は、中学生の「働くこと」に対する意識にも大きな変化をもたらした。

「体験する前は、働くことはお金を稼いだり社会に貢献するためだと思っていました。でも実際に現場を経験して、お客様のために働き、その笑顔や喜ぶ姿を見ること、そして自分が納得できる仕上がりにできることなど、働くことは『自分のため』でもあり『お客様のため』でもあるんだと実感しました。壊れたものを直して再び使えるようにすることを含め、すべての仕事には責任があるのだと強く思いました」

中学3年生に向けて進路の選択を見据える中で、将来への視野も大きく広がった。

「もともと音楽と車も好きで、どちらの仕事に就くべきか悩んでいました。でも今回、傷ついた車を元の状態に復元してお客様に喜んでもらえる仕事の素晴らしさを肌で感じました。溶接や塗装という貴重な体験をさせていただき、楽しかったのはもちろん、自動車に関わる仕事への気持ちが今まで以上に深まりました」

迷いながらも自らの手で未来の可能性を探る中学生の姿からは、クルマに対する純粋な情熱と、プロの現場から受け取った確かな手応えが伝わってきた。

自動車アフターマーケット業界の「未来」に向けて

一人の若者が職場体験を通じて自動車整備・修理の専門性の高さを肌で感じ、将来の選択肢として強く印象付けられたことは間違いない。自動車整備や鈑金塗装の現場を実際に体験することは、若者が将来の仕事として興味を持つための非常に重要なきっかけとなるはずだ。

地域と若者を温かく受け入れ、仕事の魅力を伝えていくことは、これからのモビリティ社会を支える自動車アフターマーケット事業者の大きな使命なのではないだろうか。職場体験の受け入れを行っていない事業者は、地元の学校へ意思を伝えてみてほしい。全国各地で、10代の若者たちが本格的な自動車整備や鈑金塗装を体験できる場が広がることが、業界の未来につながっていくことを期待したい。

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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