当たり前の存在となった“次世代自動車”…「いいクルマアワード」にプリウスとレヴォーグが選出 | CAR CARE PLUS

当たり前の存在となった“次世代自動車”…「いいクルマアワード」にプリウスとレヴォーグが選出

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当たり前の存在となった“次世代自動車”…「いいクルマアワード」にプリウスとレヴォーグが選出
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例えば書店員が選出する「本屋大賞」や、旅行会社が選出する「日本のホテル・旅館100選」など、業界の世相を反映し、時にはユーザーの選択時の大きな参考にもなる「プロが選ぶ」アワード。

自動車に関しても4月26日、「クルマ屋さんが選ぶ“いいクルマアワード2021”(主催:オートアフターマーケット連絡協議会)」が発表され、大賞にトヨタ・プリウス、特別賞にスバル・レヴォーグが選出された。
同アワードは、自動車整備や車体整備、買取り、用品・部品販売、新車・中古車販売など、自動車関連の仕事従事者の投票によって選ばれ、今年で5回目を迎える。


◆磐石な人気のプリウス より維持しやすい環境も

アワードは、各カテゴリに分けられて質問項目が設定されており、大賞となったトヨタ・プリウスは、「価格の割に良いクルマ」「トラブルの少ないクルマ」で1位を獲得。「リセールバリューの高いクルマ」でも3位となった。実は同アワードでプリウスの大賞は2018年から4年連続。今や自動車を選ぶ上で最も大切なスペックの1つとなっている高い燃費性能を武器に、1997年の登場以降、多数の販売実績を誇るプリウスは、整備・修理や部品、車両販売などオートアフター業界の現場においても群を抜いて高く評価されていることが改めて浮かび上がった。



また、高効率な移動手段としての評価だけでなく、「カスタマイズしたいクルマ」でも8位に挙がっており、流通台数の多さを背景に、様々な“現場”で多彩な使われ方をされているのも窺える。特に近年では、発売から年数を経て流通台数も多い30系を中心に、ハイブリッドバッテリーのリビルト品(中古再生品)も広がりつつある。

走行距離20万kmを超えた個体も少なくない中、従来は消耗・経年劣化で交換が必要になったHVバッテリーの交換が長く乗り続けることの1つのハードルとなっていたが、中古品よりも良質でメーカー純正部品より安価な専門事業者が手掛けるリビルト品も徐々に普及。かつては“次世代”と称されたパワートレーンとしてのバッテリー部品も身近な存在となり、より長く、より乗り続けやすい環境が構築されてきている。




整備をはじめとしたオートアフターの幅広い業種のプロがアワードに選定し続ける背景には、個体そのものの品質もさることながら、部品・用品=選択肢が豊富で、流通台数の多さゆえに築き上げられた“カーライフを維持しやすい環境”にもあるように見受けられる。


◆現在の延長線上にあった“次世代” レヴォーグ

他方、今回特別賞を受賞したレヴォーグは、初めての選出。2020年10月にフルモデルチェンジ(FMC)が行われ、進化したアイサイトXを搭載した現行モデルは、日本カー・オブ・ザ・イヤー2020-2021も受賞するなど、すでにメディアなどでも話題となっている。



いいクルマアワードでは、「次に乗りたいクルマ」部門で1位を獲得し、選出理由のコメントには、「『アイサイトX』を試したい」」など、ADAS(先進運転支援システム)への高い関心が表出。同時に高い安全性に加え、乗り心地やハンドリング、運転する楽しさ、価格、外観デザインなど多岐にわたる要素を評するコメントも多数寄せられ、自動車としてのバランスの高さも際立つ結果となった。



今回のアワード受賞に対し、スバルの商品企画部五島賢プロジェクトゼネラルマネージャーは、「クルマの基本性能とADASの組み合わせ、そして戦略的な価格設定で、憧れの1台というより、日常生活に実利をもたらす手が届く1台として選んでもらえたように見受ける。販売好調の人気なモデルを抑え、FMC直後のワゴンボディのレヴォーグが選ばれたことを嬉しく思う」とコメント。

FMCにあたっては、メーカー問わず全般的に自動車の開発規模・スピードが加速する中、「従来のFMC2回分を想定して開発した」(同)という。一方で、そうした高い技術力を注ぎ込みながらも、アイサイト搭載のエントリーモデル価格は310万円2000円~に設定。実際、FMC以降の現行モデルでは販売車両の約93%がアイサイトX搭載モデルで、HVという先進パワートレーンを当たり前な存在にしたプリウス同様、アイサイトXという先進システムを特別な技術ではなく世に提供している。




また、ADASのような車両をコントロールする電子制御デバイスは、かつては“自分で運転したい派のクルマ好き”から嫌煙されることもあった要素。一方で、五島PGMによると、運転する楽しさや乗り心地に直結する走行性能に関しては、専門のテスト・開発技能を要するテストドライバーがテストを重ね、制御システムのアルゴリズムの根幹も自社で開発。

独自の電子制御機構のベースにクルマとしての高い基本性能を備えることで、高速道路などでの車線変更をサポートするアクティブレーンチェンジアシストも違和感ない動作を実現しており、「自分で運転したい派のモータージャーナリストに試してもらってもお褒めの言葉を頂いた」という程。自動車の根幹である高い運動性能あってこその高い次元のASV(先進安全自動車)で、ASVが従来のクルマとかけ離れた存在ではなく、従来モデルの延長線上にあることを改めて感じさせられた。




パワートレーンにしても運転支援システムにしても、“次世代”と称された技術が“手が届く大衆車”として目の前にある今日、そうした次世代自動車を整備・修理するアフターマーケット環境も徐々に整いつつある。カメラをはじめとした繊細な各種センサー類で支えられるASVを整備する枠組みとして、20年4月に特定整備という法制度が施行。それに準拠し、ASVをしっかり整備・修理できるショップも増えてきている。業界のプロが“次世代自動車”を体現する2台を選出した今期の“いいクルマアワード”は、そんな1つの自動車の変革の節目を表出するアワードとなった。

《カーケアプラス編集部@相原駿》

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