電気自動車や自動運転、小型モビリティなど、次世代モビリティに関するニュースはよく耳にするが、まだまだ先の未来の話だと高を括っていないだろうか。しかし、思ったより早いスピードでその未来はやってくるだろう。3月7日(火)~9日(木)の3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催された「第20回 国際オートアフターマーケットEXPO 2023(IAAE 2023)」には、すでに多くの次世代モビリティの情報が出展されていた。
電気自動車
まず会場内では、フォロフライ社製商用EV「F1 Van」やBYDの日本進出第一弾車種となるEV「ATTO3」の姿を目にした。フォロフライ社製商用EV「F1 Van」は、EVでありながらガソリン車同等の低価格を実現しており、ラストワンマイルEV普及の促進に寄与している。試乗会には予約でいっぱいになるほど多くの希望者が集った。BYDに関してはもはや説明は不要だろう。昨年のEV世界販売ランキングにて、テスラに次ぐ2位になった中国の大手EVメーカーである。昨年9月にサービス技術トレーニングの領域において協業すると発表した明治産業のブースにて車両の展示があった。
小型電動モビリティ
また広義のEVということであれば、電動小型モビリティの展示や試乗会も行われていた。ブレイズは、簡単に折りたたみ、車載や室内保管も可能な電動2輪モデル「ブレイズ スマートEV」、立ち&座り乗り2WAY対応の「ブレイズEVスクーター」、そして4輪電動ミニカー「ネクストクルーザーEV」を出展し、ラストOneマイルを担う「ライフEV」商品の活用方法を提案するとともに、新規販売店の募集を行なっていた。同社が掲げるブランドコンセプト「ライフEV」は、自宅から駅までの通勤・通学や、最寄りのコンビニ、スーパーまで、そして、急速に需要が拡大する宅配(デリバリー)における顧客と店舗間の搬送手段、さらには、リゾートにおける施設間移動など、多様な生活シーンにおける身近な距離(ラストOneマイル)を、環境に配慮した電動モビリティ(EV)で繋ぐことを目指すという。
また、屋外試乗会場では、株式会社サンオータスによるSegway電動キックボード「SEA-Board」、コンパクト電動バイク「GFR-02(glafit)」、近距離モビリティ「WHILL」など、次世代小型モビリティの試乗も行われていた。「SEA-Board」と「GFR-02(glafit)」は、前述のブレイズ同様に身近な距離を移動するためのモビリティであり、「SEA-Board」は今年3月に、経済産業省認定 産業競争力強化法に基づく「新事業特例制度」に基づき湘南地区、三浦地区で実証を開始したことで注目を集めており、「GFR-02(glafit)」は、車両区分を変化させることができるモビリティとして認められた日本で初の車両でオプション販売されている「モビリティ・カテゴリー・チェンジャー(モビチェン)」を取り付けることで、従来は原付として扱われていたGFR-02を自転車としても利用可能になるという画期的なシステムで注目を集めている。
そして近距離モビリティ「WHILL」は、免許返納後などの移動手段の選択肢とされる電動アシスト自転車やシニアカーではこれまで満たせなかったニーズを反映させたスクータータイプの近距離モビリティである。試乗会場には、分解することで乗用車などにも積載可能なModel C2と、簡単に折りたたむことができるModel Fが用意されており試乗が可能であった。
このように、一口に小型モビリティと言っても、その形は様々で色んな可能性を秘めていることが分かる。
グリーントランスフォーメーション(GX)や高齢社会などをキーワードに急速に変化を遂げている自動車産業、次世代モビリティ社会への準備は水面化で着実に進んでいる。もはや自動車メーカーの描く夢物語ではなく、現実的な普及段階である自動車アフターマーケットまで浸透してきていることが今回のIAAEでは見てとれた。