「首相の1日」とか「首相動静」などと、タイトルはさまざまでも、総理大臣になると分刻みで1日の行動が、新聞の片隅に掲載される。その首相の日誌と同様に、中古車販売大手のビッグモーターによる自動車保険の水増し不正請求に関連した最新ニュースが、9月に入ってからも連日のように取り上げられている。
◆4店舗を閉鎖へ
「ビッグモーター不正の1日」とでも題して特別コーナーを設けたほうが読者にはわかりやすいが、きょうの各紙もテンコ盛りで、まずは鈴木金融相が閣議後の記者会見で「経営管理や内部管理体制の課題にも踏み込む」と述べ、損害保険ジャパンとビッグモーターに立ち入り検査を行うと正式に発表。さらに、ビッグモーターが、大府店(愛知県)、四日市日永店(三重県)、高知店(高知県)、宮崎神宮店(宮崎県)の4店を閉鎖。経営の合理化を進めるとも報じている。
社会面では、東京都が、環八世田谷店(世田谷区)など都内9店舗の前にある街路樹が故意に枯らされるなどしたとして警視庁に被害届を提出。警視庁は受理し、器物損壊容疑で捜査するという。
読売などが報じているが 都によると、街路樹を整備している都道沿いの14店舗周辺を調査した結果、9店舗の前の土壌から「グリホサート」などの除草剤成分を検出。これらの店舗前では計11本の街路樹が枯れ、多摩店(多摩市)前では20本が無断で伐採されたそうだ。
◆不正が明らかになる前から消費生活センターに多数の相談
そして自動車ユーザーが気になるのは、消費者庁が、ビッグモーターについて全国の消費生活センターに寄せられた2022年度の相談が1491件もあったと公表。このうち、自動車の購入や売却などに関するものが約9割を占め、1313件に上ったという。その半数が解約に関する相談で、強引な勧誘や査定額の減額を巡るトラブルなども含まれていたとみられる。
ちなみに23年度の件数は精査中とのことだが、22年度の同時期よりも多いとも伝えている。1年前からそんなに相談が多く寄せられていたのであれば、消費者庁はもっと早く公表し、同時に国土交通省や金融庁などの監督官庁は、しかるべき行政指導を行っていれば、被害の拡大は防げたはずである。深い闇のビッグモーターの不正では、縦割り行政の弊害も露呈してしまった。
2023年9月6日付
●中国EV欧州に攻勢、独でモーターショー(読売・9面)
●中国新車販売ホンダ25%減、8月(読売・9面)
●「労組寄り」バイデン氏思わぬ逆風、自動車労連が支持保留、EV優遇に雇用を懸念(朝日・9面)
●ビッグモーター消費者相談1491件、昨年度(毎日・23面)
●自動車保険値上げに逆風、損保ジャパン見送り、経営に打撃、ビッグモーター不正で募る不信感(産経・10面)
●ガソリン高騰要因8割円安、価格抑制あすから拡充(東京・2面)
●損保ジャパン経営陣に問題化、金融相立ち入り通知と表明(東京・6面)
●中古車価格下げ続く、対ロ禁輸などで供給増、8月(日経・2面)
●三菱自、海外で小型EV攻勢、インドネシアで来年生産、誘致策受け中韓勢追う(日経・15面)
●欧州車大手、PHVに注力、独自動車ショーでBMWなど(日経・15面)
●福原義春氏死去、資生堂名誉会長、「ブランドの神髄」追究(日経・15面)