長野県飯田市にて、グルメとサブカルの祭典『飯田丘のまちフェスティバル(丘フェス)』が11月3日に開催。17回目を迎えた今年は過去最高の29団体が参加し、コスプレやフィギュア販売、三遠南信グルメサミットなど多彩なコンテンツがある中で、メイン通りの1丁目 & 2丁目に80台並べられた「名車展示」に、幅広い年齢層の来場者たちが足を止めていた。
イベント開始前の午前9時ごろ、80台の展示車両が中央通りに流れ込む場面に遭遇。独特の排気音を響かせ、多彩で個性的なクルマたちが列をなして走る姿は圧巻で、中には映画や写真でしか見たことがないような名車もあった。




愛車に情熱を注ぐオーナーたちが参加
丘フェスの名車展示車両は大半が個人の所有車だ。『とにかく自分の愛車に情熱を注いでいるヘンタイならOK!』という自由度が高い展示条件のため、毎年ユニークで面白い展示を楽しめる。今年の輸入車ゾーンは、ジープ・ラングラーから始まり、ドイツ、フランス、イギリス、イタリアといった各国の車種が、旧車から2000年代まで多彩な顔ぶれのラインナップだった。
1953年式の旧車とは思えない艶やかなボディを維持しているVWタイプ1あれば、ルーフやドアにサビがありそれが味わいを深めているタイプ1もあったりと、同じタイプ1でもそれぞれ個性的。その進化系としてTheビートルが並べられており、時代とともに姿を変えていくクルマの進化を感じられた。



スラッシュ5本のエンブレム
見慣れないスラッシュ5本のエンブレムが目に留まり、展示車両情報を確認したらフィアットだった。イタリア語の「小舟」を意味するバルケッタという車種でオープン2シーター。1989年に登場して大人気となったマツダ・NAロードスターの影響を受けて誕生した車だという。小ぶりでゆるやかなボディラインが印象的で、独特な存在感を放っていた。

小型で丸目、旧い国産車たち
国産車は、トヨタ、日産、ミツビシ、ホンダ、マツダ、スズキ、ダイハツ、いすゞの車両があり、往年の名車から走りを楽しむヤンチャなオーナーの愛車まで幅広い車種が勢揃い。1台づつ独自の魅力があるが、小型で丸目な旧車が印象に残った。ダイハツ・ミゼット、トヨタ・スポーツ800、いすゞ・ベレット1600GT、日産・Be-1、スズキ・ツイン、ダイハツ・コペンなど、ボディもライトも丸みがあり、可愛らしい雰囲気が漂う日本の旧い小型車には、輸入車にはない独特な魅力を感じた。



幼い子どもたちに大人気のペダルカーレースも毎年大賑わい。その側で、長野県飯田技術専門学校 自動車整備科のマシン展示も行われていた。丘フェスの「名車展示」は幼い子どもから若者世代が車に関心を持つ機会を提供しているとも言える。ペダルカーレースの運営や名車展示希望の受付も行う南信州名車倶楽部(事務局:0265-25-5151/相互車体・内山)メンバーたちは、インターメカニカ356やMG-B、デルタ、NSX、コペンなどを所有する生粋のクルマ好きが集まり、旧車を維持し続けている。


旧車の魅力は尽きないが、日本では初年度登録から13年を超えたガソリン車は自動車税・重量税が割増になる。交換部品(補修部品)の入手も難しく整備や修理を断られるケースもあり、旧車の長期保有はハードルが高い。車両の長期保有が増加傾向で中古車のニーズも高い昨今、新車・旧車ともに大切な愛車に長く乗り続けられるように、税制度をはじめ自動車アフターサービスが充実していくことに期待したい。

